S/N番長プリアンプ - Fosi Audio ZP3
2020年を過ぎたころからでしょうか、中国メーカーのオーディオ製品の評判が上がり出しました。私もそれまで中国メーカーの安いDACやアンプをいくつか試していましたが、それほど良い音とは思えませんでした。ところが今年の4月に価格1万円ほどのS.M.S.LのDAC SU-1を購入して中華製品に対する意識がずいぶんと変わりました。今なら中古で数千円で売っているSONYのBDプレーヤーBDP1500PをCDトランスポートとして使っているのですが、これでもSU-1と組み合わせるとかなり良い音で聴けます。スマホはすでにMade in Chinaが世界を席巻していますが、オーディオの世界でも中国製品は単に安いだけでなりつつあります。
さて、本日のお題ですが、プリアンプのパフォーマンスの指標にSN比があります。これが良いと小さな音までクリアに聞こえます。とはいっても単にSN比だけが良ければ必ず良い音とは一概には言えないのですが、プリアンプのパフォーマンスの指標としては大事な項目の一つです。
私のプリアンプは20年前に購入した中古のQUAD44から始まりました。それ以前はプリメインアンプを使っていましたが、プリとパワーを分離しただけでもSNが良くなリ、パワーを分離する理由が良く分かりました。プリはメイン以上にものを言うことを実感しそれ以来プリメインは使っていません。次が中古のSUMOのATHENA2でしたが、購入当時このアンプのS/N比は数十万円クラスのプリアンプに匹敵するのではと思ったものでした。QUAD44もSUMO ATHENA2も良いプリアンプなのですが、時々端子やスイッチの接触不良がでたりします。どちらも古く状態に不安があるので数年前に当時は送料を含めて5万円程度だったEMOTIVA PT-100を購入しました。せっかく購入したPT-100は何か物足りず、好みの音が出てこないので残念ながら使わなくなってしまいました。そんな中で先月、オーディオ師匠がFosi Audio ZP3を購入し、SN含めてすごく良いとの話を聞き、私もアマゾンで購入してみました。
このアンプはバランス入力x1, RCA入力x2の合計3入力(入力切替リモコン操作可能)、バランス出力x1, RCA出力x1, サブウーファー出力(出力周波数フィルター切り替え付き)x1, LRバランス, Bass, Trebleコントロール(Bass/Trebleコントロールバイパススイッチ付き)とデジタルボリューム(リモコン操作可能)と基本機能はシンプルかつ十分です。リモコンはFosi Audioの一部の器機も操作可能です。ウエブにも記載のない大きさの仕様ですが実寸でラックマウント1Uより若干厚い50mm(ゴム足含まず), 幅は238mmと9.5インチ弱, 奥行きは165(つまみ、端子含まず)とデスクトップサイズとしてはちょっと大きめかもしれません。リモコンは他の器機の操作用ボタンもついていおり、その中で電源、入力切替とミュート、ボリュームの上げ下げボタンが使えます。
使ってみて良い点は間違いなく高いS/N比です。 私はZP3をS/N番長と呼ばせてもらいます。これはこのプリアンプの最大の特徴でありメリットです。高いS/N比のおかげでピアニッシモの部分でも音がクリアに聞こえます。おそらく数十万の高級プリに匹敵するぐらいのS/Nです。EMOTIVAのPT-500が単体プリとしては今より円高の時期に購入して50,000円程度でした。ZP3は24,000円程度で購入しましたがS/NはPT-100より良いと思います。これほどS/Nの良いプリアンプはこのお値段ではおそらく無いのでは?
もう一つ良い点は音の癖があまり感じられないのです。私の手元の装置と比べると、比較的癖のない中古QUAD44の衰えてしまった周波数レンジを広くしてS/Nを良くした感じと言ったところでしょうか。そのため再生するソフトのジャンルを選びません。クラシック、ジャズ、ロック、ポップス何でもOK。個人的な感想としてSUMOやEmotivaはアメリカがルーツではない音楽、特にクラシック音楽を再生すると何となく繊細な情感に乏しい、というより中低音域が豊かなアメリカ的な音に聞こえてしまうのですが、ZP3はとりあえずどんなジャンルの音楽でも癖のない素直な音だと思います。
音についての不満は一つ。これは内部のデジタル処理の関係ではないかと思うのですが、音の響きに余韻が残らないことです。これが唯一の残念な点であり、高級機と比較して24,000円の販売価格の製品の限界かもしれません。その昔のD/Aコンバーターにはよくあったのですが、ある程度響きが下がってくると音が突然、フッと音が消えてしまうのでバイオリンやアコースティックギターのような楽器の響きが少し貧弱に聞こえます。オーケストラのバイオリンやピアノの音も私には少し不自然に聞こえます。なんとなくざらついたデジタル特有の音なのです。S.M.S.L.のDAC、 SU-1やPS200をA/B級のパワーアンプに直接入れていた時はこの部分が気になりませんでした。ZP3はDACとA/B級のパワーアンプの間に入れているのでこれはZP3の特性だと思います。ただしこれもバラードだと伴奏部分でちょっと厳しいかもしれませんが、テンポの速いロックやジャズ、ポップスではほとんど気になりません。しかもこの価格ではあまり文句も言えませんし。
現時点で10万円未満のプリアンプとしては最高のコストパフォーマンスなのは間違いないのではと思います。このアンプを使ってみて思ったのは中国の開発者の耳もずいぶん肥えてきたのではないかということです。完ぺきとは言えませんが、私の不満点である上記の点もおそらく数年もすれば改善しているのではないかと思います。中華ブランド侮ることなかれ。既存の欧米日本ブランドもこのままだと駆逐されてしまうかもしれません。末恐ろしいとは正にこのことかもしれません。

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